認知症予防トレーニングを動画付きで紹介|コグニサイズについても

認知症を予防するトレーニングには複数の種類がありますが、体を動かす運動と脳を使うエクササイズを組み合わせて行うことが効果的です。

中でもコグニサイズは、軽い運動をしながら頭のエクササイズができるため、認知症の予防に効果があると注目されています。

この記事では、認知症の予防におすすめの運動を紹介するとともに、コグニサイズのやり方を動画付きで解説します。認知症の予防に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてください。

なお、運動以外における認知症の予防方法については、下記の記事をご覧ください。

関連記事:認知症予防のための6つのポイント|年齢別に具体的な内容を紹介

目次

認知症予防と運動の関係性について

運動する老夫婦

運動をすると全身の細胞に酸素が行き渡り、脳の血流が良くなります運動を習慣化することで脳の血流量が増え、脳が活性化するため、認知症の予防に効果的です。

実際にWHO(世界保健機関)によると、身体運動は認知症予防の効果が最も高く、脳の構造によい影響を与える可能性があるとして、身体運動に取り組むことが推奨されています。

また運動不足は認知症の発症リスクを高めるだけでなく、高血圧や糖尿病、肥満の原因にもなります。健康を維持するには、適度な有酸素運動や筋力トレーニングに取り組むことが大切です。

認知症予防のために運動をする前に

看護師のイメージ

認知症の予防には運動が効果的ですが、激しい運動は必要ありません

少し汗をかく程度で、心臓が少しドキドキするくらいの運動がベストです。個人差はあるものの、週に数回、30分程度を目安にして運動を習慣化しましょう。

運動するためにジムに通うのではなく、身構えない運動から始めることがポイントです。雑巾掛けをする、通勤・通学で一駅歩く、エレベーターではなく階段を利用するなど、普段の生活の中に運動を取り入れることで、無理なく続けられます。

運動と関連して、畑作業などもおすすめです。畑作業は身体を動かせることに加えて、末端の神経を動かすため、血流が良くなり脳を活性化できます。また自然の匂いなども感じられるため、心を癒やしてリラックスできる効果も期待できます。

認知症予防におすすめの運動

運動するシニア女性

一口に運動といっても、さまざまな種類があります。その中で、認知症予防におすすめの運動は以下の3つです。

  • 筋力増強運動
  • 有酸素運動
  • リズム運動

上記の運動を組み合わせると、認知症の予防に相乗効果を発揮します。

筋力増強運動

筋力増強運動とは、短距離走や筋力トレーニングなど、短時間に筋肉へ大きな負荷をかける運動のことです。

筋力増強運動によって体に力を入れることで、脳への血液の循環も高まり、脳の働きが活性化して認知症の予防につながります

認知症予防のトレーニングとしておすすめされている筋力増強運動は、以下の2つです。

  • スロースクワット
  • モンキーウォーク

スロースクワットは、立ち上がった状態から3秒かけて腰を下ろし、1秒停止した後、4秒かけて立ち上がり、1秒停止する運動です。体の中で最も大きな筋肉である太ももを鍛えることができるため、ダイエットや健康維持にもつながります。

モンキーウォークは、膝を曲げて腰を落として歩く運動です。見た目が猿のような歩き方に見えることからモンキーウォークと呼ばれています。スロースクワットと同様に、太ももを中心とした下半身を鍛えられます。 

筋力増強運動は、転倒リスクを下げるうえでも効果的です。転倒して寝たきりの生活になると、活動性が低下して認知症を発症するリスクが高まってしまいます。筋力増強運動を続けて筋肉の量を増やせば、体を支える力が強くなるため、認知症の予防に有効です。

ただし、普段あまり運動をしない人が筋肉に重い負荷をかけると膝や腰を痛めてしまうので、まずは最1日数回の簡単なトレーニングから始めてみましょう。慣れてきたら徐々に回数を増やしていくと、無理なく続けられます。

有酸素運動

有酸素運動とは、運動負荷が軽く、長時間継続できる運動のことです。軽く息があがる程度の運動なので、子供からお年寄りまで誰でも気軽に取り組めます。

有酸素運動では、体内に蓄えられた糖質や脂質をエネルギー源にして筋肉を動かすことから、認知症の予防はもちろん、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防にも効果的です。

有酸素運動には下記のとおり、複数の種類があります。

屋外で行う有酸素運動ウォーキングエアロビクスサイクリングトレッキング水泳
自宅で行える有酸素運動ヨガ踏み台昇降エア縄跳びエア自転車こぎトランポリンフラフープ

雨が降っていて外でウォーキングができないときは、室内で踏み台昇降をすれば、毎日無理なく有酸素運動を続けられます。

エア自転車こぎは、寝転がった状態で両足を上げ、空中で自転車をこぐような動作を行う運動なので、テレビを見ながら手軽に取り組めます。

まずは、自分が楽しんで続けられる運動から始めてみましょう。無理のない範囲で始めて、運動する習慣をつけることが大事です。 

リズム運動

リズム運動は、リズミカルな音楽に合わせて決められた動作を行う運動のことです。全身の血液循環が良くなり、脳に酸素とエネルギー源を届けられることから、認知症の予防に効果があるとされています。

認知症予防におすすめのリズム運動は、以下の3つです。

  • ラジオ体操
  • アクアビクス
  • ダンス

毎朝のラジオ体操を習慣化すると、脳が活性化して新陳代謝アップといった効果を得られます。習慣的に続けていくことで、認知症を予防できるだけでなく、ダイエットや肩こりの改善効果などの健康効果も期待できます。

認知症予防プログラム「コグニサイズ」とは?

リズム運動なども含めて、コグニサイズもおすすめです。コグニサイズとは、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが開発した認知症予防運動プログラムのことです。

コグニサイズ(cognicise)は、英語の「cognition (認知) 」と「exercise (運動) 」を組み合わせた造語です。コグニステップやコグニウォーキングなど、さまざまな類似語がありますが、これらを含んだ総称として使われています。

コグニサイズでは、軽い運動をしながら体の健康を促すと同時に、頭で計算やしりとりをしながら脳の活動を活発にする機会を増やします。

コグニサイズの目的は認知症の発症を遅延させることであり、課題自体がうまくなることではありません。運動と脳のエクササイズに楽しみながら取り組むことで、認知機能低下の抑制を目指します。

認知症予防には、2つの作業を同時に行うデュアルタスクが効果的です。コグニサイズは、普段の生活の中で取り組める簡単なデュアルタスクなので、認知症の予防に期待できます。簡単にできるものばかりなので、毎日のスキマ時間を活用して取り組んでみましょう。

下記では2024年2月14日(水)にて、講座『教えて先生!認知症予防』が開催された際、当院のデイケアスタッフである上野先生が実際にコグニサイズをレクチャーしている際の様子を動画付きでご紹介します。コグニサイズの一例として、Part1~5まで、難易度順にご紹介します。

コグニサイズPart1

Part1では、その場で足踏みしながら、声に出して数を数える運動を行います

まずは足踏みから始め、掛け声とともに1から30までの数を順番に数え上げながら足踏みを続けていきます。

足踏みをしながら1、2、3と数えていき、30まで数え上げたら終了です。

コグニサイズPart2

Part2では、Part1と同様にその場で足踏みしながら、数を数える運動をします

Part1と異なる点は、数の数え方が1から始まるのではなく、30から始めて1まで順番に数えていく点です。足踏みをしながら30、29、28と数えていき、1まで数え上げたら終了です。

コグニサイズPart3

Part3では、Part1と同様に足踏みをしながら1から30まで順番に数えていき、3の倍数になったときに拍手をする運動を行います。

足踏みをしながら1、2、3と順番に声に出して数えていき、3の倍数のときに拍手をして、30まで数え上げたら終了です。

コグニサイズPart4

Part4では、Part2と同様に、足踏みしながら30から始めて1まで順番に数えていき、5の倍数を数えるときに拍手をする運動を行います。

足踏みをしながら30、29、28と順番に声を出して数えていき、5の倍数のときに拍手をして、1まで数え上げたら終了です。

コグニサイズPart5

Part5では、Part1と同様に足踏みをしながら1から30まで順番に数えていき、3の倍数になったときに右手を上げ、5の倍数になったときに左手を上げる運動を行います。

足踏みをしながら1、2、3と数えていき、3の倍数を数えるときに右手を上げ、5の倍数を数えるときに左手を上げ、最後30を数えるときは両手を上げて終了です。

まとめ

認知症を予防するために、体を使った運動と脳を使ったエクササイズを毎日の生活に取り入れましょう。

無理なく継続するには、楽しみながら行うことがポイントです。自然が好きな人なら緑の多い公園でウォーキングを始めてみたり、畑作業に取り組んでみたりすると良いでしょう。

テレビを視聴しながら運動したり、通勤・通学中に歩く距離を増やしたりするなど、毎日の生活の中に運動を取り組むことで習慣化できます。

今回紹介したトレーニングの中から自分に向いているものを選んで、毎日少しずつ取り組んでみましょう。

なお、本記事でも触れた通り、当院・丹沢病院では不定期でセミナーを開催しております。認知症予防について、当院の院長である関口先生を始め、デイケアスタッフである上野先生も登壇します。最後には関口先生を囲んで座談会を実施し、人には相談しづらい、親の介護や予防方法についても相談が可能です。

今後の開催予定・案内については丹沢病院の公式ラインアカウントで告知を行っています。是非ご登録ください。

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この記事の監修者

丹沢病院院長。認知症サポート医の資格所有。認知症に関する多くの講演実績を持っており、患者だけでなく、その家族に対しての不安・悩みにも寄り添い、サポートを行ってきました。「認知症はとにかく早期に発見し、治療することで、進行を緩やかにすることができる」ということです。あなた自身のためにも、そしてご家族のためにも、不安に感じられることがございましたら、まずは当院にお気軽にご相談ください。

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